シアリスと前立腺肥大症 2013.2.28
こんにちは、
渋谷駅前クリニック事務長の二階堂です。
今回はED治療薬が他の病気の治療薬としても使われているという話をご紹介します。
長時間作用型のED治療薬として知られるシアリス(タダラフィル)は、アメリカでは前立腺肥大症の治療薬としても認可されています。
シアリスをはじめとするED治療薬の作用は、cGMPという血管を拡張させる物質を
分解する酵素(PDE5)の働きを抑えるものです。
これによって陰茎の血管を拡げ、海綿体への血流を促すという仕組みです。
バイアグラ、レビトラ、シアリスともこの作用は同じで、いずれもPDE5阻害薬と呼ばれています。
なぜこれが前立腺肥大症の治療薬になるのか?というと、前立腺においてもPDE5の働きを抑えることで、cGMPが前立腺の平滑筋を弛緩させて、尿道の圧迫された状態を改善するという作用になるようです。
収縮した血管を拡げて血流を良くするように、圧迫された尿道を弛めて排尿しやすくする、ということですね。
シアリスは日本でも前立腺肥大症の治療薬としての適用に向けて、製造元のイーライリリー社による臨床試験が進められています。
また、以前のブログでも紹介しました、韓国のED治療薬であるザイデナ(ウデナフィル)は日本では前立腺肥大症の薬として申請される予定です。
ちなみにAGA治療薬のプロペシア(フィナステリド)も、元々はアメリカでプロスカーという名前で前立腺肥大症の薬として開発されました。
こちらは前立腺肥大の原因となるDHT(ジヒドロテストステロン)の働きを阻害するというもので、そのままプロペシアの脱毛予防と同じ働きをするものです。
作用こそ異なりますが、ED治療薬とAGA治療薬がどちらも前立腺肥大症に効果があるというのは不思議な感じもしますね。
※ プロスカーは日本では未認可の薬です。
ちなみにED治療薬は他にも肺高血圧症という病気の治療薬としても使われています。
これについてはまたご紹介したいと思います。