ED治療薬と肺高血圧症 2013.3.6
こんにちは、
渋谷駅前クリニック事務長の二階堂です。
今回は肺高血圧症という病気とED治療薬との関係について紹介したいと思います。
肺高血圧症というのは肺動脈圧が上昇する疾患の総称で、このうちの肺動脈性肺高血圧症の治療薬として、バイアグラの有効成分であるシルデナフィル、及びシアリスの有効成分であるタダラフィルが使用されています。
肺動脈性肺高血圧症は心臓から肺への血流が悪くなり、放置すると心不全から死に至ることもある難病です。
バイアグラ(シルデナフィル)やシアリス(タダラフィル)がこの病気の治療にどう作用するのか?
ここでまた登場するのがPDE5(ホスホジエステラーゼ5)と呼ばれる酵素です。
肺の血管にもPDE5が存在しているのですが、この活性を抑えることによって肺動脈の平滑筋を弛緩させます。
その結果、肺動脈の血圧が下がって血流が良くなるということです。
つまり陰茎の血管と肺動脈の血管という違いだけで、血流を改善する仕組みとしてはED治療と全く同じことなのですね。
ちなみにこれらの薬はシルデナフィル、タダラフィルを含有していますが、バイアグラ、シアリスという名前ではありません。
シルデナフィルを20mg含有しているのがレバチオ(ファイザー製薬)、
タダラフィルを20mg含有しているのがアドシルカ(イーライリリー/日本新薬)、
という製品名になっています。
また、それぞれバイアグラ、シアリスと区別をする為に、錠剤の外見も変更されています。
バイアグラの青色、ダイヤ形に対して、レバチオは白色、円形になっています。
アドシルカはシアリスと似た形ですが、シアリスの黄色に対して赤褐色の錠剤です。
バイアグラは、元々は狭心症の治療薬として開発されていましたが、予想外の副作用としてEDに対する効果が発見され、ED治療薬として販売されることになりました。
これが数年後に難病の治療薬としても使われることになるのですから、薬剤の開発というのは奥深いものだと改めて思わされます。
また、最近ではカテキンの一種とED治療薬の組み合わせで抗がん作用が認められたというニュースもありました。
バイアグラ、レビトラ、シアリスとも、まだまだ多くの可能性を秘めた薬なのでは?
と期待してしまいますね。